この日も留守番だったので、
「我は神なり」「シング・ストリート」を観たり。
「我は神なり」は「新感染」の監督ヨン・サンホの初期のアニメーション作品。
ダム建設で沈む村には新興宗教が流行っているが、地元に戻ってきた粗暴な主人公がインチキに気づき新興宗教のウソを暴こうするもの。
しかし主人公は非常に乱暴で嫌な人物なので誰にも信用されなかったり。
娘の大学入学資金を酒に使い込んだり、とても感情移入しにくい人物。
村人は村人で宗教を信じて病死した人は幸せそうだし、何がその人にとっての救いになるかはわからない。
ラストももう映画全体の陰鬱な空気(画面も昼間でも暗い気がする・・)から予想されるとおり最悪の結末。
そもそもこれアニメでやる必要あるのかというぐらい、暗い話で、やっぱり元々は実写の予定が内容が暗すぎてスポンサーが集まらなかったらアニメになったらしい。(アニメはアニメで大変な気もするけれど)
知的障害のある男性を言いくるめて殺人をさせる描写とか、エグすぎて割とほわーっとしたアニメばかり観ていた自分にはなかなかきつかったです。
ただ陰鬱ですごく重たい作品ではあるけれど、世にはなくてはならない作品という気がしました。
シング・ストリートは前日に観た「はじまりのうた」と同じ監督が撮ったもの。
アイルランドの高校生がバンドを組んでMVを作りまくる。
80年代が舞台なのでそのころのヒット曲が流れて、
さらに主人公たちも当時の曲に影響を受けたような曲を作ったりする。
ここでもやっぱりバンドをやる楽しさというものが表されていて
主人公がバンドメンバーのギターの家に行って曲を作る。
ちょっとギターを弾いて、この上に歌をのせてみよう、という感じで曲が出来上がっていく。
引きこもりの兄貴がレコードコレクターで主人公にこれは良いぞこれは良いぞと教えたり。
兄弟あるあるで大体弟は兄からかっこよい音楽を教わるものだね~うんうんと思いました。
最終的に主人公は音楽で成功するべくロンドンを目指すのだけれど、アイルランドの人にとってはロンドンは東京に上京するような感じに近いのかな。
とはいえアイルランドとイギリスの間には海があるので海を船で進むシーンでラストは終わるのですが、
嵐に見舞われて、それが現実のシーンというより主人公の人生がこれから上手くいくとは限らない、本人の不安とその後の前途多難を予期させる描写になっている気がしました。
はじまりのうたにせよ、シング・ストリートにせよ、苦労というかネガティブなことが起こらないわけではないのですが結局はサラッとしていて割と大体上手くいくのですが、この最後のシーンの嵐でファンタジーに落とし前をつけているような気がしました。
相変わらず劇中の曲も素晴らしいし、基本的にこの監督は映画よりも音楽に比重を置いていてそれがありそうでない作品を作り出していると思いました。